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2024.07.19
「Surimi」~日本の郷土料理かまぼこの魅力~
魚肉練り製品といえばかまぼこ、ちくわ、はんぺん、さつま揚げなどが思い浮かびますね。そんな日本における練り製品の歴史は平安時代に遡り和食文化の一端をなしています。
欧米の一部地域にフィッシュケーキと呼ばれる魚などをすり身にして固めた料理があるのをはじめ、練り製品は世界各地にもありますが、そのなかでも日本の練り製品は、世界的な日本食ブームや健康ブーム、そして魚肉の健康価値が見直されるなか「Surimi」と呼ばれ注目されています。
●各地のさまざまな練り製品
練り製品には各地で獲れる魚の種類の違いから、多種多様な製品が生産されています。全国的に有名なものをいくつかご紹介してみますと…
「笹かまぼこ」(宮城県)
明治時代に仙台湾で大量にとれた魚を長持ちさせるために、身を細かく刻み、すって焼いて加工したのが笹かまぼこです。笹かまぼこは焼いて作る「焼きかまぼこ」の代表格です。
「蒸し板かまぼこ」(神奈川県)
これはスーパーなどでよく見かける板の上に乗ったかまぼこです。小田原かまぼこはその代表です。表面がつややかで弾力のあるしっかりした歯ごたえ、そしてみりんなどによる甘みが特徴です。とりわけ往来の多い東海道の一大宿場町だった小田原のご当地「小田原かまぼこ」は江戸時代から多くの人たちに親しまれました。こちらは魚のすり身を蒸して作る「蒸しかまぼこ」の代表格です。
「さつま揚げ」(鹿児島県)
鹿児島県では「つけあげ」と呼ばれます。魚のほか野菜やイカなどの食材を混ぜ込んだり、包んだりしたものもあります。かまぼこを油で揚げたつけあげは「さつま揚げ」として江戸でも広まり、今では鹿児島の郷土料理の代表格となっています。「揚げかまぼこ」に分類されます。因みに「さつま」の名を冠するため鹿児島生まれかと思いきや、さつま揚げは沖縄県の琉球料理「チキアーギ」に源流があるとされます。
「とうふちくわ」(鳥取県)
成り立ちが少し特徴的なのがとうふちくわです。漁港の整備が遅れていた鳥取藩で当時盛んに栽培されていた大豆を活用して生み出されました。現在豊富な漁獲量を誇り日本有数の漁港「境港」を要する現在の鳥取県のイメージとは少しちがいますね。ふわふわの食感と大豆の風味は鳥取市民のソウルフードです。もちろん大豆だけでなく魚のすり身も入っています。
「がんす」(広島県)
こちらは名前も変わっていますが見た目もかなり変わっています。魚のすり身に玉ねぎなどの野菜や一味唐辛子などを混ぜパン粉を付けて揚げたもの。パン粉の香ばしさとサクサクとした食感、野菜の甘味が特徴です。
「じゃこ天」(愛媛県)
独特の歯ごたえと魚の旨みが濃いじゃこ天は、元は小さな小魚(雑魚)を利用して作られ「天ぷら」と呼ばれていました。やがて「雑魚天(ざこてん)」が転じて「じゃこ天」と呼ばれるようになりました。小魚が丸ごと入っているので栄養満点です。
ほかにも「はんぺん」(東京都)、「昆布巻きかまぼこ」(富山県)、「魚(うお)そうめん」「舞鶴かまぼこ」(京都府)、「あごのやき」「野焼きちくわ」(島根県)、「いわし黒はんぺん」(静岡県)、「おび天」(宮崎県)…各地の海で獲れる魚と風土で作られ育った練り製品はその土地の食文化の一端を担っているといっても過言ではありません。
●おわりに
練り製品の原料となる魚肉は良質なタンパク質が多く含まれる一方低脂肪で知られます。また、さつま揚げなどはカルシウムも多く含みます。そうした栄養を魚の調理や下ごしらえ不要で手軽に摂取できるのは練り製品の魅力のひとつですね。ただし、糖質や塩分が比較的多く含まれていますので食べ過ぎには注意が必要です。
暑い夏、全国のご当地かまぼこを通販などで取り寄せて、自宅で全国味巡りを堪能なんていかがでしょうか。冷蔵庫でひんやり冷やしたかまぼこは食卓に涼をもたらしてくれそうです。